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グリンピース

グリンピース

暖かそうな黄緑の毛皮を羽織った獣が
今日も丘の上で大きな体横にして寝てる
彼女はドクターから与えてもらった黒い遠眼鏡で
そいつを眺めるのが日課になってる
白い壁に囲まれた清潔で簡素なベッドの上
彼女は薄いカ-ディガンを薄い肩にかける
無機質な部屋の一つしかない窓から見えるもの
色の変わる丘に棲むそいつと七本の鉄格子

朝起きて窓を開けると涼しい風が顔撫でる
「今日は雨になりそうだわ」彼女の勘は鋭い
鍵をかけられた部屋で彼女の唯一の楽しみ
その日の天気を当てる事そいつを眺める事
彼女が朝のスープをアルミの匙で掬う時
そいつはいつものように大きな欠伸を一つ
丘の木がゆれ空がふるえ鳥達がはばたく
だけど彼女は最後のスープを口にふくむ

そいつの名前はグリンピース
彼女が勝手にそう呼んでるだけ
誰も知らない彼女の秘密

ある日白衣をまとったふとっちょのドクターが
彼女の部屋の鍵を静かにまわす
重い鉄の扉は軋んだ音をたてる
ベッドの上には四つにたたんだ毛布があるだけ
その時窓から光がドクターの横顔てらす
濁った青い目を窓の向こうに突き刺す
彼にとって全てが覆された出来事
震えた手で鉄格子をつかみながら

丘の上には外に出られない彼女が見える
誰かを抱くように両手を広げて
青かった空が黄緑へと色を変えてく
二つに分かれてた空と大地が一つになってく
遠くの方の地平線はやがて消えてく
たった一色の世界に全てが包まれる
もう何も見えない聞こえない感じない
全ての感覚は止まりドクターは目を閉じる

そいつの名前はグリンピース
彼女が勝手にそう呼んでるだけ
誰も知らない彼女の秘密

フワフワの背中に飛び乗って
空を飛びたかっただけ
彼女は空を飛びたかっただけ

ドクターが目を覚ましたのは彼女の部屋の中
空はいつものように青く丘から涼しい風が
悪い夢を見ていたんだと固い頭で思う
そして何もなかったかのようにドアを閉めた

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